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□ある食べ物について
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それは、セナのひと言から始まった。
サイユウシティポケモンリーグ、資料室にて。
そこに詰めてデータをまとめていたセナと、資料の閲覧に訪れたダイゴは、他愛もない世間噺をしていた。
「今日は寒いねぇ。ほんとここんとこ冷えるよねぇ」
タブレット端末に接続したキーボードを叩く手を休めて、セナはマルチナビで天気予報を確かめる。
「あー、明日も寒いみたい」
「そうだな・・・・・・サイユウは土地柄、気温の変化も大きいし」
「温かいものが食べたくなるねぇ。ダイゴくんは晩ご飯なに食べるの?」
「昼食もまだなのに、夕食の話かい?」
「うん、お昼はお弁当だし。で、君のディナーは?」
「さぁ。今日はリオンが作ってくれるんだ」
「そうなんだ。付き人ちゃんは大変だねぇ」
その付き人はといえば、おつかいを頼まれてリーグにはいない。
「さぁて、こっちはどうしよっかなぁ」
今日は、家に帰っても家族は誰もいない。ひとり分の食事となると、作らずに買うなり外食もいいだろう。
さして悩むこともなく、エンターキーを叩いてデータを保存する。丸まっていた背中をぐぐっと伸ばす。
それから、よし、と。
「今日の晩ご飯は・・・おでんがいいかな」